脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
常染色体構造異常症に合併するてんかんの検討
洲鎌 盛一厚川 清美草野 薫赤塚 章落合 幸勝廿楽 重信前川 喜平
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 26 巻 6 号 p. 486-492

詳細
抄録

常染色体構造異常症に合併するてんかんについて検討した.自験例, 報告例とも多くの疾患でてんかんを合併したが, 難治性と非難治性のものが存在した.てんかんの難治度は, 脳奇形の合併の程度, 頭部CT-scan計測上の形態的脳障害とは相関がみられなかった.DQ, 運動障害度による臨床的脳障害度の評価では, 難治例で低値であるものの, てんかん発作のない例, 非難治例でも多くの例で低値がみられ, 必ずしも難治度と相関していなかった.すなわち疾患そのものがてんかんの難治性と関連している可能性も考えられた.自験例, 報告例とも4p-症候群は難治性で, 5p-症候群 (猫なき症候群) ではてんかん発作はなかった.ある常染色体構造異常症は, その疾患に共通したてんかん症候群または脳波異常を持っている可能性が推察される.その欠失, または重複部位から関連遺伝子を同定する分子遺伝学的研究には, 小児科医の臨床的観察が重要な役割を果たすと考えられる.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top