2013 年 13 巻 6 号 p. 267-273
飢餓人口が増大,食糧問題が深刻化している。食糧増産は人類共通の重要課題であるが,その現状は,水資源の枯渇,温暖化などの資源・環境問題など多くの問題を抱え,持続可能な農業生産システムの必要性が以前から指摘されている。一方,生育環境を制御して農作物を周年計画生産する植物工場への期待が高まっている。植物工場には従来の農業生産システムにはない特徴があり,近年,わが国だけでなく海外でも注目されている。採算性,栽培品目,販路などの植物工場の課題解決に向けて,現実的な取組みも行われている。過去3 年間でわが国の植物工場稼動数は着実に増加し,新たな産業の核としての期待が高まっている。信州大学先進植物工場研究教育センター(SU-PLAF)は 全国8箇所の植物工場基盤技術開発拠点の1 つとして開設され,太陽光利用コンテナ植物工場や省エネルギー周年ワサビ苗生産技術などの開発に取組んでいる。