オレオサイエンス
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特集総説論文
骨粗鬆症病態応答性薬物放出特性を持つ人工骨・細胞スキャホールドの設計
-骨再生用バイオマテリアルからの薬物放出速度論と細胞活性応答性薬物放出-
大塚 誠
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2017 年 17 巻 8 号 p. 349-357

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抄録

アパタイト骨セメントは,準安定形リン酸カルシウムからなりヒドロキシアパタイト(HAP)への転移により自己硬化する。このセメントに種々の薬剤を練合して薬剤徐放性人工骨セメントを調製した。 アパタイト骨セメントからのin vitro薬物放出速度はHiguchi式に従ったことから,薬物濃度,空隙率,セメント粒子径,拡散係数などにより薬物放出制御が可能であった。In vitroin vivo実験の結果から,アパタイト骨セメントからのin vivo薬物放出特性は,生体液中のカルシウム濃度に依存する薬物放出であることを証明した。このことからアパタイト骨セメントは,骨親和性の高い低結晶性HAPに転移して自己硬化し,骨粗鬆症病態に応答する薬物放出性をもつ高機能性デバイスであることが示された。さらに,HAP・コラーゲン複合化セメントに骨粗しょう症薬を適用し,完全連通孔をもつ細胞スキャホールドを調製した。 この高機能人工骨は,骨再生治療に適していることが示された。

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