オレオサイエンス
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総合論文
オリゴマー末端に導入されたフルオロアルキル基の凝集効果が活かされた新しいフッ素系高分子ゲルの合成と応用
沢田 英夫川瀬 徳三
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2002 年 2 巻 11 号 p. 681-696

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抄録
新しいフルオロアルキル基が末端に導入された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸オリゴマー[RF- (AMPS) n-RF] を, キーマテリアルとして過酸化フルオロアルカノイルを用いた対応するモノマー (AMPS) との反応により合成した。この含フッ素AMPSオリゴマーは, 対応するフッ素を含まないAMPSオリゴマーがゲルを形成しないのに対し, 水以外にメタノール, ジメチルスルポキシド (DMSO), N, N一ジメチルホルムアミド (DMF) を非架橋条件下にもかかわらずゲル化させることができた。これら含フッ素AMPSオリゴマーゲルは, 金属イオンに対し強い捕捉能を示すとともに, 興味深いことに, 高選択的な抗HIV-1活性を示すことがわかった。さらに, ポリオキシエチレンユニットを含むフルオロアルキル基含有AMPSオリゴマーゲルは新しいフッ素系ポリマーゲル電解質へ応用することができ, リチウムイオンイオン存在下, 10-3S/cmレベルの高いイオン伝導性を示した。フルオロアルキル基含有AMPSオリゴマーハイドロゲルはまた, アルドール反応に対する新しい反応場を提供することができ, これらフッ素系反応場はアルドール反応に対しリサイクル性を示すこともわかった。ヒドロキシル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマーは末端に導入されたフルオロアルキルセグメント問での凝集効果さらにはヒドロキシルセグメント問での分子間水素結合が相乗的に作用し, 非架橋条件下にもかかわらず水さらには有機溶媒をゲル化させることができた。リチウムイオン存在下におけるポリ (オキシエチレンユニット) (もしくはカルボキシル) セグメントを有するフルオロアルキル基含有トリ-さらにはテトラ-オールコオリゴマーゲルは10-3S/cmレベルの高いイオン伝導性を示した。特に, カルボキシルセグメントを有するフルオロアルキル基含有テトラオールコオリゴマーゲルは10-4S/cmレベルのプロトン伝導性を示した。従って, これら含フッ素コオリゴマーゲルはリチウムイオン以外にプロトン伝導性を示すことから, 新しいフッ素系イオン導電性材料への展開が期待される。
フルオロアルキル基含有N- (1, 1-ジメチル-3-オキソブチル) アクリルアミドホモオリゴマー類は種々の溶媒中においてゲルを形成しないものの, これら含フッ素オリゴマーは有機溶媒中において自己組織化された300-600nmレベルの分子集合体を形成することができた。さらにこれら集合体は, 低分子抗菌剤として有用なヒビテンをゲスト分子として認識することができた。一方, トリオールセグメントを有するフルオロアルキル基含有N- (1, 1-ジメチル-3-オキソブチル) アクリルアミドコオリゴマーは水, DMSO, DMFをゲル化させることができ, これら含フッ素コオリゴマーゲルはメトトレキセート (methotrexate) のような抗ガン剤に対してコントロールリリースが観測された。
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© 2002 公益社団法人 日本油化学会
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