2020 年 20 巻 1 号 p. 5-11
らせん状に回転している光を円偏光といい,円偏光には,左回転する光・右回転する光の2種類の円偏光発光(CPL)が存在する。一般的に,左回転・右回転のCPLを作り出す場合,エナンチオマーであるD体・L体2種類の光学活性な発光体を必要とする。今回,光学活性ユニットとして光学活性ペプチドを,発光性ユニットとしてピレン環を組み合わせることにより,CPLを発する光学活性ペプチド- ピレン有機発光体を合成した。興味深いことに,光学活性ペプチドのキラルな絶対配置(D体・L体)の違いではなく,発光性ピレン間距離,外部環境などを変化させることにより,発光性ピレン環のキラルな空間配置を精密に制御し,CPLの回転方向チューニングに成功した。