2022 年 22 巻 1 号 p. 5-13
マイクロメートルサイズのベシクル(ジャイアントベシクル)は,機能性材料および生体膜モデルとして大きな注目を集めている。本稿では,加水分解性結合を有する両親媒性分子を用いた,温度およびpH応答性ジャイアントベシクルの開発事例を紹介する。これらは,加水分解による両親媒性分子の組成の変化にともなってベシクル膜内の分子どうしのパッキングが変化することに起因している。このような合成化学的な戦略は,ベシクル膜構造のより精密な制御を可能とし,超分子化学の観点から新たな機能を備えたジャイアントベシクルの開発につながる可能性を有している。