オレオサイエンス
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総説
未知なるリン脂質
プラスマローゲン
前場 良太
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2005 年 5 巻 9 号 p. 405-415

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抄録

本論では, プラスマローゲンの生体分布, 分析法, 機能, 欠損症, 生合成とその調節, 血中プラスマローゲンについてまとめた。分析法では, 最近, 筆者が血漿中プラスマローゲン濃度のルーチン測定用に開発した放射性ヨードを用いたHPLC法などについて記述した。機能では, 筆者が初めて見出したエタノールアミンプラスマローゲンの新規の抗酸化作用, すなわちリン脂質二重層中のコレステロールおよび膜全体の酸化感受性を低下させる作用などについて論述した。血中プラスマローゲンでは, 1) 加齢や高脂血症により血漿中プラスマローゲン濃度が有意に低下することを筆者らも確認したこと, 2) 計148名の高脂血症を含む中高年者の血液リポタンパク質を分析した結果, 血漿中のエタノールアミンプラスマローゲンに対するコリンプラスマローゲンのモル比 (CP/EP比) が低比重リポタンパク質 (LDL) のサイズと有意に相関することが判明し, 血漿プラスマローゲンがsmall, denseLDLの発現に関与する可能性が示唆されたこと, 3) CP/EP比の意義と, ゴマや食事性プラスマローゲンの摂取によりCP/EP比の改善を介して, LDLサイズを正常化できる可能性, などについて述べた。

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© 2005 公益社団法人 日本油化学会
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