抄録
病歴、症状、呼吸時の鼓膜所見から耳管開放症と診断できる症例でも耳管機能検査が陰性であることも多い。本研究では、病歴、症状、呼吸時の鼓膜所見から耳管開放症と考えられた症例の耳管機能検査陽性率を検討し、診断における耳管機能検査の有用性を検討した。耳管機能検査による陽性率は、インピーダンス法によるTTAGで53.1%、sonotubometryで84.4%でありsonotubometryはTTAGと比べ有意に陽性率が高かった。TTAGの陽性率が低い原因として嚥下によるsonotubometryと比較してバルサルバ通気によるTTAGの耳管開放率が低いことが一因と考えられた。バルサルバ法で上手く耳管開放が出来ない症例、特に片側耳管開放症例、呼吸性鼓膜動揺の認めない症例の診断においてsonotubometryはTTAGより有意に陽性率が高く、そのような症例の診断においては耳管開放症を示唆するスクリーニング検査としてTTAGを補完する事ができ有用な検査と考えられた。