2022 年 32 巻 2 号 p. 189-193
耳石器機能検査として確立された前庭誘発筋電図(vestibular evoked myogenic potential: VEMP)には,球形嚢機能検査として同側の胸鎖乳突筋で記録される前庭誘発頸筋電図(cervical VEMP: cVEMP)と卵形嚢機能検査として対側の眼球直下で記録される前庭誘発眼筋電図(ocular VEMP: oVEMP)がある.VEMPによりいくつかの新知見が得られた.ひとつは,耳石器単独障害では,その平衡斑の平面上の直線運動をもつふらつきが生じることである.つまり球形嚢では矢状面,卵形嚢では水平面の動きをもつふらつきを生じる.また良性発作性頭位めまい症の頭位性めまいは頭位治療により早期に消失するが,軽度のふらつきが持続することがある.これらは残存する卵形嚢障害による可能性がある.耳石器機能検査としてVEMPに代替するものはなく,網羅的な内耳機能の検索には必須である.