2022 年 32 巻 2 号 p. 194-199
近年の超高齢社会において,高齢者の転倒予防は喫緊の課題である.我々はそのために「ふらつき」の定量評価に関する研究を続けてきた.耳石器は重力を感知し,視覚・体性感覚と共同で重力認知座標を構築する.耳石眼反射を定量化することで転倒リスクを評価し,高リスク症例の抽出と予防医学的介入を行うことを目的としている.前額断面の耳石眼反射は眼球反対回旋によって,また矢状断面ではListing平面を描出することで定量評価可能である.我々がこれまで行ってきた健常者のListing平面の特性評価や各種疾患による変化,マウスを対象とした動物モデル,計測に必要な回旋性サッケードの特性の解明,耳石眼反射と相補的に働く静的頸眼反射の存在の検証,回転刺激や温度刺激負荷後のふらつきのメカニズムの解明について概説する.さらに今後の展望として,VRゴーグルを用いた検査・リハビリテーションの実装についても触れる.