表面ゾルゲル法は,金属アルコキシドの溶液からの化学吸着と加水分解を繰り返し,分子厚みの酸化物ナノ薄膜を作製する手法である.得られる低密度,かつアモルファスの薄膜は,有機分子との化学的親和性に優れており,配位結合や水素結合,あるいは静電的相互作用を介して,多様なヘテロ接合を可能にする.表面ゾルゲル法で作製した有機/無機ナノ複合薄膜から,酸素プラズマにより有機成分を取り除くと,多孔性の酸化物ナノ薄膜が得られる.また,親水性高分子で被覆した酸化物ナノ薄膜は,たんぱく質の優れた支持体となる.本稿では,酸化物ナノ薄膜を用いた高分子,生体分子の組織化について解説し,その化学や工学的な応用について展望する.