応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
研究紹介
バイオ分野に注目されるフェムト秒レーザー細胞プロセス
細川 陽一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 82 巻 1 号 p. 63-67

詳細
抄録

高強度の近赤外フェムト秒レーザーを顕微鏡により集光し,細胞培養液に照射したとき,集光点で微小な爆発が引き起こされる.この爆発に伴う力を細胞に作用させることで,光ピンセットよりもはるかに強力な力を必要とする細胞操作を,1細胞レベルの空間スケールで実現できる.筆者らは,顕微鏡下で引き起こされるフェムト秒レーザーアブレーションや,微小爆発によって試料に加わる機械的な外力を利用した多くの実践的なバイオ応用技術を開発してきている.フェムト秒レーザーアブレーションを利用し,生体試料を熱変性させずに加工したり,生体試料の機能を部分的に阻害したり,発生段階にある動物胚に遺伝子やmRNAなどのバイオ分子を導入したりすることに成功している.また,フェムト秒レーザーを標的細胞近傍の培養液に集光照射し,発生した衝撃波と応力波を作用させ,細胞を壊すことなく細胞間の接着を乖(かい)離(り)させることができる.さらには,この力を原子間力顕微鏡により定量評価することにも成功し,細胞の接着力評価に利用している.本稿では筆者らが行ってきている多くのバイオ分野へのフェムト秒レーザー細胞プロセス技術について紹介する.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人応用物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top