2013 年 82 巻 6 号 p. 458-467
現在,有機ELは実用化の時期を迎え,中小型のモバイル用途から照明や大型TVへの展開が積極的に図られている.特に,リン光材料を用いたデバイスは優れた発光性能を有することから,従来の蛍光材料に代わり,有機ELの基幹材料となっている.しかしながら,リン光材料は,化合物がIr/Pt/Osなどのレアメタルを含有する有機金属化合物に限定されていることや安定な青色発光が困難であるなどの問題点があり,新材料の開発が期待されていた.本稿では,熱活性化遅延蛍光(TADF)による新しい発光機構を用いた次世代有機ELについて述べる.分子構造の最適化によって,従来では,その実現が困難であった高効率なTADFが実現し,これにより,典型的な有機化合物によってほぼ100%の発光量子効率で電気を光に変換する究極の次世代有機EL素子が実現された.