2016 年 85 巻 8 号 p. 689-692
タンパク質の複素誘電率測定を,サブGHz〜テラヘルツ(THz)帯にわたる広帯域において行い,タンパク質のダイナミクスに及ぼす水和と熱活性の効果について調べた.特に,THz帯のスペクトル強度が,脱水和状態の場合は温度に対して単調に増加するが,水和試料については200K付近より高温で温度変化の傾きが大きくなる,動力学転移様の現象を示すことを観測し,その分子論的な描像を明らかにすることができた.すなわち,温度上昇に伴い,水和水に由来する緩和成分のスペクトルがGHz帯からブルーシフトし,200K付近からTHz帯に侵入するために,動力学転移様の現象が引き起こされたことがわかった.