2022 年 91 巻 10 号 p. 619-623
将来の大規模な量子コンピュータに向けて,量子ビットの制御機能を集積回路化する技術が期待されている.量子ビット制御用の集積回路は数ケルビン以下の極低温下での動作が前提となるため,Cryogenic-CMOS(Cryo-CMOS)と呼ばれる.Cryo-CMOSの実現には極低温動作を再現する回路モデルが必要となるが,その開発は端緒についたばかりである.また,MOSFETの極低温下での動作特性は十分に理解されておらず,デバイス物理の理解を進める必要もある.量子コンピュータの実用化に向けた動きが進むとともにCryo-CMOS技術の重要性は高まっており,国内外で研究が活発化している.本稿では量子コンピュータにおけるCryo-CMOS技術の役割と研究開発状況を解説し,最近の研究成果を含めてCryo-CMOSデバイスの特徴と今後の展望を紹介する.