日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-100
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3. 社会・文化
認知的方略と健康状態・社会関係を保つ老後のための努力との関連:日本人中高年の間での検討
*福沢 愛菅原 育子神山 祥子小林 謙次郎
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抄録

認知的方略は,将来への期待の高低×過去のパフォーマンスの高低で四つの群(方略的楽観主義・非現実的楽観主義・防衛的悲観主義・真の悲観主義)に分けられる。学業場面において,方略的楽観主義者と防衛的悲観主義者が,他の二群に比べて適応的に課題遂行をすることが知られている。しかし,こうした傾向が学業場面以外でも見られるのかは充分に知られておらず,また,中高年以上で認知的方略を検討した研究は少ない。本研究では平均年齢40歳以上の2つのサンプル;i)会社員54名(平均年齢48.08歳) ii)社会人大学の学生125名(平均年齢49.97歳)を対象に,認知的方略に関する知見が,心身の健康状態や社会関係を維持する老後のための努力にも応用できるかを検討した。その結果,方略的楽観主義者は,真の悲観主義者,非現実的楽観主義者よりも,継続した運動を行い,老後のために社会参加をして生きがいを保とうとする傾向が高く,認知的方略に関する知見が,老後のための努力にも応用できる可能性が示唆された。防衛的悲観主義者の適応的傾向は,方略的楽観主義者と比べると部分的にしか見られなかった。認知的方略の下位概念同士の関連,世代差の観点から考察する。

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