主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
今城・藤村・佐藤(2016, 2017abc, 2018, 2019)では,ホワイトカラーが日常の仕事経験から学ぶプロセスやその結果としての「持論」の形成や活用について,一連の研究を行ってきた。ここでは,日本企業で働くホワイトカラー1066名を対象に収集したデータを用いて,どのような個人差が持論形成に影響をするのかの問題意識のもと,2つの検討を行った:①持論の形成に貢献すると考えられる「主体性」と「メタ認知」の個人差について,研究のための測定尺度を開発した。②2つの尺度得点と,その個人が記述した「仕事を面白くするための持論」の内容や性質との間に妥当な関係性が観察されるかについて,探索的に検討を行った。分析の結果,2つの尺度の信頼性は十分高かった。ただし,2者間の相関係数が0.69と高く,尺度間の弁別性に疑問を残す結果であった。一方「仕事を面白くするための持論」では,コーディングの結果と主体性,メタ認知それぞれの関連性は,解釈可能なものであった。測定尺度の改善の方向性,個人差の操作の可能性など,これらの個人差と持論形成のより詳細な検討の方向性など,今後の研究課題についても論じる。