抄録
複数のアニオンからなる複合アニオン化合物では、成分として含まれるカチオンに対して、イオン結合を基本として、両者の電気陰性度の差により共有結合性や金属結合性を帯びることになり、その結果単一のアニオンからなる様々な化合物と対比して、多様な結合様式とこれを基にした特異な構造の形成および物性の発現が期待される。
本発表では、一連の陽性ならびに陰性元素との組み合わせから想定される結合様式をもとに、同属また族の異なるアニオン(陰性元素)からなる実在の複合アニオン化合物を抽出し、その合成および構造化学的特徴、ならびに物性の特異性を明らかにし、新規な物質あるいは物質相の可能性を検討したので報告する。