抄録
ルチル多結晶体表面の各粒子の表面の摩擦力の変化を、摩擦力顕微鏡(FFM)を用いて評価し、酸化チタンの光誘起親水化に及ぼす微構造の影響について検討した。大気中でルチル表面に紫外線を照射し、約70の粒子について摩擦力変化を調査したところ、照射時間に対して表面の摩擦力がいったん増加した後に減少し、その後再度徐々に増加に転じる傾向が確認された。このような摩擦力の変化とその雰囲気依存性の機構を、光誘起親水化過程と関連づけて考察した結果、光照射初期の親水化には表面吸着有機物の光化学反応による分解が、後半の高度な親水化には大気中の水分子の吸着が寄与していることが示唆された。