抄録
近年,セメント系材料の定量分析手法として,X線回折リートベルト法が発展してきている。本研究では,普通セメントおよび高炉セメント硬化体について,定量分析手法としてのリートベルト法の適用に加え,解析において精密化された結晶構造に関するパラメータから,生成した水酸化カルシウムの結晶形態の評価を試みた。水酸化カルシウムの格子定数および単位格子体積の経時変化により,普通セメントでは,材齢初期に粗大な水酸化カルシウムが生成し,材齢の経過とともに六角板状結晶の底面が成長した微細な結晶が生成すること,高炉セメントでは結晶形態の変化はあるが生成する結晶の大きさは一定の値で推移することがそれぞれ確認された。