抄録
ポリスチレン(PS)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)のような汎用高分子は擬似体液(SBF)を用いたヒドロキシアパタイト(HAp)析出において不均一核形成に有効な官能基をもたない。最近我々はヒト血清アルブミン(HSA)の吸着層を介してPS基板表面へのHAp析出に成功した。本研究ではこの手法の他のタンパク質や高分子への適用可能性を評価し、またHAp析出を促進させる前処理についても検討を行った。その結果PS基板ではHSA以外にヒト免疫グロブリンGを吸着させた場合でも1.5SBFに浸漬後HApの析出がみられたのに対し、PMMA基板では同様の処理でHApの析出はみられなかった。これは各基板に対するタンパク質の吸着量の違いが原因であると考えられた。HSA吸着PS基板を塩化カルシウム溶液で前処理することでHApの析出が促進されることも明らかとなった。