2007 年 49 巻 3 号 p. 207-214
この研究の目的は,同一患者におけるフラップ手術でのNd : YAG レーザー照射,Er : YAGレーザー照射,消炎鎮痛剤の内服での術後疼痛緩和効果をVASにて比較することである。
今回の研究は11名90歯を対象とした。この研究は3群を設定した。実験群1(11名33歯)は,Nd : YAG レーザーを歯根面,骨欠損内部,歯肉弁内面におのおの3.0W,30秒,3回照射した。実験群2(11名29歯)は,Er : YAG レーザーを歯根面,骨欠損内部,歯肉弁内面におのおの1.0W,30秒,3回照射した。さらに,実験群1および2は術直後に1.5W,1分,3回歯肉頬移行部に照射した。対照群(11名28歯)にはレーザー照射をおこなわず,術直後に消炎鎮痛剤を内服させた。VAS は術直後から6時間後まで1時間ごとに,2日目は起床後から6時間後までとした。
統計学的分析の結果,術後1時間において実験群1が対照群と比較して有意(p<0.05)に高値であったが,これ以外に統計学的有意差は認められなかった。
今回の研究の範囲内では,フラップ手術におけるNd : YAGレーザー照射,Er : YAGレーザー照射,および消炎鎮痛剤の内服での術後疼痛緩和効果はほぼ同等であることが示唆された。