2018 年 60 巻 2 号 p. 105-116
歯周炎に対する検査方法は多数報告されているが,歯周組織炎症の程度を客観的に評価することが出来る方法は未だに確立されていない。我々は,医科領域で広く用いられているPET(18F-FDG)/CTが炎症組織の局在と炎症強度を可視化することができることに着目した。そして,乳がんの既往を有する慢性歯周炎患者に対する歯周治療の効果を,既存の歯周組織検査方法とPET(18F-FDG)/CTとで経時的に比較検討した。歯周治療が進むに従って歯周組織炎症は消失し,BOPの割合は56%から3%に,PISAは1143 mm2から27 mm2に改善した。さらに,歯周治療前にPET(18F-FDG)/CTで検出された18F-FDGの顕著な集積は歯周治療後には消失した。これらの結果から,PET(18F-FDG)/CTは炎症性口腔疾患に対する新規検査方法として有用と考えられる。すなわち本症例報告は,PET(18F-FDG)/CTが医科―歯科共通の検査項目となることによって,周術期の医科―歯科連携の強化や,全身疾患を有する多くの歯周炎患者に対してさらに効果的な歯周治療を行うことが出来る可能性を提案するものである。