日本歯周病学会会誌
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症例報告レビュー
限局型慢性歯周炎の29年経過の一症例
若林 健史
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2021 年 63 巻 2 号 p. 66-72

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抄録

限局型慢性歯周炎の患者に歯周基本治療,口腔機能回復治療及びサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)を行い29年以上にわたり良好に口腔機能維持している症例について報告する。本症例では歯周基本治療において十分な臨床的改善が見られ口腔機能回復治療,SPTに進むことができた。口腔機能を長期に維持安定させるためには動的歯周治療後SPTに入ってからも口腔内の変化を注意深く観察しSPT中に問題が生じたときは必要に応じて積極的な介入も必要になると思われる。SPT中に分岐部病変を有する2歯のうち1本の歯を失ったがもう1歯は適切なメンテナンスにより根分岐部病変の進行を抑えることにより長期的に保存することができている。これらのことから歯周病治療により口腔内を長期的に管理することの難しさを実感している。

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