日本歯周病学会会誌
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フラツプ手術後の歯肉血流の推移について
笹本 幸資佐藤 聡伊藤 弘鴨井 久一
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1992 年 34 巻 2 号 p. 472-484

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抄録

上顎前歯部に歯周外科治療を必要とする歯周疾患の患者20名を選び, フラップ手術後の創傷治癒過程における血流量の変化をレーザースペックル血流計を用いて観察した。
予備実験群として臨床的に健康な歯肉を有する成人10名を対象とし, 脈拍, 血圧および血流量の変化を0日, 3日, 5日, 7日, 14日, 21日, 28日と経日的に測定をおこなった。血流量の測定では, 測定部位の上顎切歯群および犬歯部の頬側中央部の付着歯肉部に, 保持装置を作製し測定をおこなった。また, 臨床パラメータとしては測定部位のplaque control record (PCR), gingival index (GI), およびプロービングデプス (PD) を測定した。実験群では, 0日の値を術前値とし, 上顎前歯部にフラップ手術をおこなった。さらに予備実験群と同様の実験計画で, 術後の血流量の変化を比較観察し, 以下の結果を得た。
1) 臨床パラメータは, 予備実験群でPCR 0%, GI 0, 実験群ではPCR 0%, GI 0.95±0.70であった。予備実験群では, 測定期間において歯肉直下血流量の経日的変化は認められず, 脈拍および血圧と血流量との相関関係についても認められなかった。
2) フラツプ手術後の創傷治癒過程において歯肉上皮直下の血流量の変化は, 術前の測定値に比較し術後早期に増加または, 減少する型の2相に分けられた。さらに2相に分けられた群のPDの平均値は, 増加群で2.89±0.42 mm, 減少群で3.97±0.76mmであった。
3) フラップ手術後の血流増加群では, 術後3日, 5日および7日において, 術前の血流量と比較して増加し有意差が認められた (p<0.01) 。
4) フラップ手術後の血流減少群では, 術後14日, 21日および28日において, 術前の血流量と比較して減少し有意差が認められた (p<0.01) 。

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