1980 年 28 巻 2 号 p. 66-70
流体の運動はほとんど数学的手法によって説明されているが,直感的にとらえにくい面がある。流体の運動をイメージとしてとらえ理解するためには流れを目に見える形にすることが効果的である.著者らは数値計算という手法を用いて粘性流体の運動を可視化することを試みた'今回の数値計算は,ナビエ・ストークスの方程式を定常形ではなく時間依存のままで解いている.水平壁面上に垂直にたてた平板状の障害物周辺の流線の時間変化,速度分布や渦度分布をレイノルズ数20,170と1700の場合について算出した.流線や渦度分布は,レイノルズ数が20と170の場合にはよく似た傾向を示したが,レイノルズ数が1700の場合には,慣性項の影響が効いて,得られた解は振動し流線図を作図することはできなかった.実際に数値計算を行う場合に必要な考え方とかパラメータはできるだけ示した.