静脈学
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原著
機能的膝窩静脈捕捉症候群―下腿深部静脈血栓症の成因としての考察―
広川 雅之井上 芳徳菅野 範英地引 政利玉井 諭久保田 俊也栗原 伸久中島 里枝子岩井 武尚
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2002 年 13 巻 3 号 p. 193-197

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抄録

膝窩部血管捕捉症状がないが足関節背屈によって末梢動脈拍動が減弱もしくは消失する(Plantar Dorsal Flexion [PDF] テスト陽性)症例を機能的膝窩静脈捕捉症候群と呼ぶ.本症と関連して深部静脈血栓症(DVT)を起こしたと考えられた3例を経験した.症例1は73歳男性,両下肢の腫張で来院,両下肢のPDFテスト陽性であった.静脈撮影では左膝窩静脈はDVT後再管疎通の所見で右膝窩静脈は他動的足関節背屈によって狭窄を認めた.右膝窩静脈の捕捉があることから左側にも捕捉があると推測された.症例2は81歳男性,右下肢静脈瘤および腫張で来院,右のPDFテスト陽性であった.静脈撮影では右膝窩静脈に血栓を認めたが,再疎通後には足関節背屈によって膝窩静脈の圧迫が認められるようになった.症例3は52歳男性,左下腿腫張にて来院,左のPDFテスト陽性であった.静脈撮影では左膝窩静脈内に血栓および足関節背屈による膝窩静脈の圧迫が認められた.症例1・2は肺血流シンチにて肺塞栓が疑われた.全例,弾性ストッキングおよび抗凝固療法にて症状は軽快している.正常人でも一定の割合で認められる機能的膝窩静脈血管捕捉症候群が下腿DVTの原因の一つとして関与している可能性が示唆された.

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