順天堂医学
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総説
病院感染を防ぐための病院建築
-順天堂医院の建築・設備に関する実態調査-
伊藤 昭崎村 雄一森本 正一網中 眞由美平松 啓一
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2007 年 53 巻 3 号 p. 379-389

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抄録
理想的な病院感染対策は, 病院建築設計の段階から始まる. 病院運用段階においても, 施設をいかに維持管理し, 環境を整備するかが重要で, この運用が見事に行われるためにも病院の構造自体が感染対策に適したコンセプトによって設計される必要がある. 今回, 理想的な病院建築に資するため, 順天堂医院の医師と看護師を対象にアンケート調査を行った. 外来に関しては, 診察待合や処置室のスペース不足, 診察室数の不足, また感染対策上近接することが望ましくない診療科の組み合わせなどが指摘された. 外来初診患者の適切な振り分けによる待ち時間の短縮を図ること, 感染症患者専用の診察待合が必要との意見が見られた. 手術・滅菌部門では, 2号館の建築空間の狭隘, 空気清浄度が気になるとの回答が見られた. 因に2号館の陰圧対応診察室の利用者は8.7%であった. 手術と滅菌部門との位置関係, 既滅菌物品や汚染物・廃棄物などの物流動線に対して不具合を感じている看護師が大多数を占めた. 一足制については, 院内感染との関連性は薄いとの理由で賛成数が反対を上回った. 病棟部門では, 病室の広さ・入口扉幅・ベッド間隔. 必要な設備, ステーション廻りの物流動線等に対する各号館に従事する看護師の感じ方の違いなどを把握した. 病院全体においては, 多くの職員が, 歩道橋, エレベータ, 長い移動ルートや各所の段差に対して不満を感じており, 患者のQOLに配慮して庭園, 図書館, 物販. 飲食店舗設置の要望が多かった. アンケート結果から, 医療スタッフの使用実態, 建築空間の感じ方, 感染制御に対する考え方, 部門諸室構成の要素, 環境・設備機能の改善点などを抽出した. 今後, 建築空間・設備の不具合箇所を検証して, 病院感染を防ぐ最適な環境整備と維持管理の手法構築に繋げたい.
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© 2007 順天堂医学会
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