PLANT MORPHOLOGY
Online ISSN : 1884-4154
Print ISSN : 0918-9726
ISSN-L : 0918-9726
特集Ⅰ 加圧凍結法が切り拓く世界
分裂酵母の超微構造学的解析のための加圧凍結技法
許斐 麻美大隅 正子
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 25 巻 1 号 p. 29-34

詳細
抄録

加圧凍結法は,分裂酵母の良好な凍結試料を再現性良く,一定量を得ることを可能にした.これにより,加圧凍結置換固定法は,分裂酵母の細胞内オルガネラや細胞骨格の明瞭な観察を実現し,蛋白質分解経路のひとつであるオートファジー機構の存在も明かにした.また走査電子顕微鏡法に対しては,クライオシステムを用いた方法に加えて,特別な装置がなくても細胞破断像を観察できる手法を確立した.これらの手法の開発は,細胞構造の三次元的な把握を進めた.さらに,われわれは極低濃度のオスミウム酸を添加した免疫電顕法のための置換固定法を確立し,物質の局在と細胞構造を同一切片で実現できるようにした.これにより,細胞壁合成酵素Bgs1pの局在が明かになり,隔壁形成予定域には電子密度の高い構造が出現する事が見いだされた.本稿では,加圧凍結法を用いた様々な形態解析手法について,分裂酵母を用いた解析事例を紹介する.

著者関連情報
© 2013 日本植物形態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top