公共政策
Online ISSN : 2758-2345
自由論題報告
ビオトープ条例制定への提言――自然環境保全・創造のために――
南 真二
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2000 年 2000 巻 p. 2000-1-018-

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抄録

ビオトープとは野生生物の生息・生育可能な自然生態系が機能する空間を意味する概念であるが,現在の日本の自然環境保全に関する法律はいずれも生態系の保全という観点が極めて弱く,自然環境の破壊が著しい里山など農村・田園の二次的自然を直接保全目的とした法律もないのが現状であり,条例の枠組でも十分ではない。

保全する価値があると思われる里山の中には,ナショナル・トラストの手法により取り組まれているところもあるが,この手法では資金面から部分的保全に止まり,多くのビオトープの保全は困難であることから,これに代わる手法として(1)地域指定による開発規制と,(2)指定地域以外における宅地造成等の一定規模以上の開発の規制を内容としたビオトープ条例を提言することとした。

ビオトープ条例の制定主体としては,ビオトープの面積が比較的小さいものもあることから市町村とするが,条例の規制対象は普通種だけでなく,その土地固有の生態系を代表する種や絶滅のおそれのある種が生息・生育する里山等とする。

規制方法としては許可制とする。指定地域については税の減免対象にすると共に,積極的な管理の必要な土地は土地所有者・保全団体等を含めて,詳細な管理協定を締結できることとし,これによりビオトープの保全・創造を図る。

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© 2000 日本公共政策学会
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