実践政策学
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観光都市におけるイメージ構造の比較分析
倉敷美観地区と尾道を事例として
大畑 友紀
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2025 年 11 巻 2 号 p. 285-292

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抄録
本研究は、観光都市におけるイメージ構造を比較により明らかにすることを目的とし、倉敷美観地区と尾道を事例に、キーワードの自由記述から抽出した語彙を分析したものである。分析については語の頻度と尤度比により都市間の差異を定量化し、共起ネットワークによりクラスターを可視化した。倉敷美観地区では「白壁」、「川」、「舟」、「柳」、「蔵」、「歴史」、「風情」、「落ち着」の出現回数が多く、水辺と歴史意匠を核とする滞在型の鑑賞体験が抽出された。尾道では「坂」、「海」、「寺」、「山」に加え「ロープウェイ」、「桜」、「猫」、「ラーメン」等が特徴的であり、斜面移動と海景観、寺社を軸とする移動を伴う眺望体験が抽出された。「美しい」、「町並み」、「古い」、「景色」といった語は両都市に共通していた。同一の設問と分析手法により物理環境の異なる近隣2都市を直接比較した点に本研究の新規性があり、その結果として、「滞在型の鑑賞」と「移動を伴う眺望」という行動像の対照性や、猫や飲食店等の生活文化資源の位置づけといった意外性を含む知見が得られた。これらの結果は、歴史的景観を有する他地域においても、共通する景観評価語と都市固有の語の組み合わせから強みを把握し、観光戦略や地域ブランディングの検討に応用可能である。
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