実践政策学
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検証報告書で見る「災害初動対応の失敗学」
室田 哲男
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2026 年 12 巻 1 号 p. 29-40

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抄録
災害初動時において、現場の最前線にある市町村は、一刻の猶予も許されない状況の下で、平時とは異なる膨大な災害対策業務を迅速かつ的確に処理しなければならない。このため、常に完璧な対応を行うことは容易ではなく、何らかの「失敗」と評価し得る問題の発生は不可避に近いと言える。本稿は、失敗を否定的に捉えるのではなく、そこから積極的に学び、原因を解明して再発防止につなげる「失敗学」の考え方に基づき、2013年以降の大規模豪雨災害における12市町村の検証報告書を比較・分析し、災害初動対応における失敗やその原因を構造的に明らかにすることを目的としている。分析の結果、防災気象情報や被害情報の収集・分析、避難指示等の発令、住民への情報伝達、関係機関との情報共有など、情報管理に関わる業務で多くの失敗が発生していた。これらの失敗は、重大な失敗、組織外に影響する失敗、組織内部の失敗の3段階に分類され、小さな失敗が積み重なり、重大な失敗につながる「失敗のハインリッヒの法則」が自治体の災害対応にも当てはまることが確認された。また、失敗の原因は、個人のミスのみならず、業務手順、組織・体制、施設・設備の不備などが多層的に重なり合っており、事前の備えや体制整備の重要性が改めて示された。さらに、以上の結果を踏まえ、政策的含意を整理し、各市町村が優先順位を踏まえつつ災害対応力を効果的に強化するための示唆を提示した。
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