実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
Print ISSN : 2189-2946
「防窮簡易指標」の開発と試行的分析
生活困窮リスクの早期把握に向けて
白取 耕一郎鎌谷 勇宏中井(松尾) 和弥森川 想
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ジャーナル オープンアクセス

2026 年 12 巻 1 号 p. 41-50

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抄録
生活困窮への対応においては、困窮が顕在化した後の支援だけでなく、生活困窮リスクを早期に把握し、困窮の発生や深刻化を予防することが重要である。しかし、生活困窮リスクや初期困難を簡便に把握し、予防的支援や生活改善につなげるための実践的指標は十分に蓄積されていない。本稿は、生活困窮の予防と深刻化防止を目指す防窮の観点から、「防窮簡易指標」を開発し、その基礎的性能を検討することを目的とする。本稿でいう生活困窮リスクには、生活困窮が顕在化する前の脆弱性だけでなく、支払い不安や受診抑制のように、すでに生活上の困難として部分的に表れている初期状態も含まれる。具体的には、貧困研究、政策文書、支援実務者へのヒアリングをもとに、生活困窮リスクに関わる13項目を作成した。項目は、「基本的思考」「お金」「健康」「社会関係」の4分野から構成され、5件法で回答する。オンライン調査データを用いて探索的因子分析を行った結果、「経済的安定性」と「健康・金銭管理力」の2因子9項目が抽出された。さらに、経済状況および生活意識との関連を分析したところ、「経済的安定性」はいずれとも一貫して関連していた。「健康・金銭管理力」は経済状況とは関連していたが、生活意識との関連は統制変数を加えると明確ではなくなった。本指標は生活困窮状態を確定診断するものではないが、市民本人による生活困窮リスクの自己点検、支援者による初期面談、防窮教育でのリスク確認などに活用しうる。
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