抄録
本稿は、岐阜市コミュニティバスシステムを事例として、地域公共交通の持続性を支える政策運用のあり方を検討するものである。近年、地方都市ではデマンド交通、AIデマンド交通、シェア交通など多様な施策が展開されているが、人口減少、高齢化、利用者減少、運転士不足の進行のなかで、地域公共交通をいかに維持・更新していくかは依然として大きな課題である。岐阜市では、コミュニティバスが2006年10月に試行導入され、その後段階的に拡大し、20年を経た現在も20地区で運行が継続されている。さらに、地域公共交通利便増進実施計画のもとで、幹線系統の強化、都市拠点へのアクセス向上、リアルタイム運行情報の提供、利用促進施策などが一体的に進められている。本稿では、こうした長期的な制度運用を Plan、 Do、 Assess、 Report、 Utilize からなる PDARU サイクルの観点から整理し、地域公共交通の持続性を、計画・実施・評価だけでなく、結果の共有や見直しを含む運用の過程から捉えることを試みる。また、岐阜市のコミュニティバスを、旧来型施策としてではなく、補完交通、情報化、ネットワーク化を通じて更新されてきた制度として捉え、鶴岡市の事例との比較を通じてその特徴を検討する。そのうえで、今後のデマンド交通やAI交通施策を考える際にも、PDARU が一つの有効な視点となる可能性を検討する。