実践政策学
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私事交通を考慮した行動群と居住意向に関する検討
群馬県高崎市を事例として
塚田 伸也森田 哲夫
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2020 年 6 巻 2 号 p. 149-158

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抄録
わが国の地方都市では、若者が大都市へ転出するとともに少子化による急激な人口減少と高齢化の進展による地方都市の衰退が深刻な課題となっている。地方都市において、都市活動の持続性を確保しながら、都市の魅力や市民生活の質の向上していくことが求められており、都市の集約化政策が検討されている。本研究では、生活を支える交通行動として私事交通に着目することとした。本研究の目的は、地方都市の住民の私事交通行動を行動群に類型化し、各行動群の居住意向を明らかにすることである。分析には2015年に実施された群馬県パーソントリップ調査データを用い、群馬県高崎市を研究対象地域とする。分析の結果、私事交通行動による6つの行動群に類型化し、各行動群の基礎的な特性を明らかにした。次に、各行動群の居住意向を明らかにした。分析結果を考察することにより、都市部である高崎地域においても自動車依存の傾向が高く、都市の集約化政策を進めるためには、公共交通などの他の交通手段への転換を促す政策が有効でることがわかった。郊外部の地域においては、車依存の女性の行動群が類型化され、子育て支援のために送迎支援が有効と考えられる。山間部の地域においては、車依存の高齢者の行動群が類型化され、通院交通行動の支援やリモート診療の有効性が示された。
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© 2020 実践政策学エディトリアルボード
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