抄録
高レベル放射性廃棄物処分に関する対話活動は、特に将来を担う若年層に向けた工夫が必要である。しかし現在、原子力事業者によって行われる一般的な対話の場における情報提供は、参加者の特性に関わらず一様なものとなっており、対話の参加者の関心事とミスマッチが生じていると考えられる。本研究は、高レベル放射性廃棄物処分の問題に関する若年層に向けた対話の活性化に資することを目的として、大学生と一般人を対象とした2種類の異なる対話の記録を基に各々テキストマイニング分析を行い、本分析で得られた抽出語や抽出語間の共起ネットワークを比較考察することで、学生対話の特性からみた高レベル放射性廃棄物処分の問題を明らかにした。学生対話は、まず抽出語から、「対象者」、「先進国の事例」、「周知」に関する社会的側面、また「日本」における廃棄物の発生元の「原子力」や「国民」といった幅広い層を想定しHLW処分の「理解」についての思考があった。また抽出語の共起ネットワークから、例えば「原子力」では、「考え(方)」、「事故」の語、他の語にも連鎖したつながりがあること、さらに「地層」と「処分」の語では、HLW処分を進めることで間接的に影響する「雇用」、「メリット」の語や、参加者の知識レベルに応じた説明内容の程度に関する「理系」などの語とつながりがあった。そしてHLW処分問題、対話が発展する3つのパターンを特定した。これら知見は今後、学生の関心事に沿った対話を実践する一助になり得ると考える。