抄録
本研究では、日本の都市部と地方部から選出した7都府県を対象として、COVID-19の感染状況が公共交通利用を中心とする移動に及ぼす影響を検討した。モビリティ利用と自県ならびに全国の新規感染者数の相関係数を新規感染者数のデータをずらしながら算出することで、各感染状況が最もモビリティ利用に影響を及ぼしたタイミングを推計するとともに、回帰分析を行って影響の程度を検討した。その結果、モビリティ利用に影響を及ぼしたタイミングは東京で第1波が14~16日、第2波が8~11日、大阪で第1波が15~18日、第2波が6~9日と推計され、第1波よりも第2波では感染拡大から移動の減少が早く生じた可能性が示された。また、第1波の地方部では自都府県の感染状況よりも全国の感染状況に影響されたと考えられる期間が長かった可能性が示された。また、自都府県の10万人当たり新規感染者数を説明変数とした場合、都市部と比較して地方部で回帰係数が大きかった。さらに、第1波では全国の新規感染者数を説明変数とした場合も、全ての都府県で回帰係数が有意であり、決定係数が自都府県の新規感染者数を説明変数とした場合よりも高い府県も多かった。本研究で示された結果は、第1波では身近な感染状況に加えて、マスコミ等の報道による全国的な感染状況によって、公共交通を中心とした移動が変化した可能性を示唆するものと考えられる。