抄録
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策においては外出削減をはじめとする強力な非医療的介入が用いられたが、今後のパンデミック対策を適切なものとするためにも、それらがどの程度の感染抑制効果を持ったかについての検証は不可欠である。本研究では、日本における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行状況と、その要因として考えられる外出削減率及び季節要因との統計的関係を分析した。その結果、SARS-CoV-2の流行状況(新規感染者数)は、従来から存在するコロナウイルスの流行の季節変動パターンと強い正の相関を、気温と強い負の相関を示す一方で、外出削減率との間では有意な相関が観察されなかった。また、SARS-CoV-2の流行に及ぼす影響を重回帰分析により検討したところ、気温が支配的な影響を持っていることが示唆された。