実践政策学
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調剤外部委託化による薬剤師の対人業務強化と地域活動参画への影響
加茂 薫大庭 哲治
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2023 年 9 巻 2 号 p. 163-176

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抄録
日本政府・厚生労働省が薬剤師をより患者や地域住民に深く関わらせるべく、対人業務を強化するため、負荷の掛かっている対物業務(調剤業務)を軽減する取組として、調剤の外部委託化を可能とする法改正を検討している。調剤の外部委託化が実現した場合、調剤に関わる業務時間は圧縮され、対人業務を増強することが可能となる。しかしながら、法改正がなされたとしても、薬剤師が捻出された時間を対人業務に費やさなければ、無用の産物となってしまう。そこで本研究は、薬剤師が捻出された時間を対人業務強化に取り組む意識を持ち合わせているか、全国規模のインターネット調査を実施し、調剤の外部委託化が薬剤師の業務にどのような影響を及ぼすのか、調剤の外部委託化の有効性を分析した。その結果、調剤の外部委託化の賛否については、「賛成」、「やや賛成」の回答が過半数を超え、賛成派ほど対人業務の関与意識が高い結果が得られ、薬剤師の対人業務の強化に大きく寄与する可能性が高いことを明らかにしている。さらに、対人業務の内容として「患者サービス」と「地域活動」の取組意向をそれぞれ目的変数とする 2 種類の重回帰分析を実施した結果、いずれも「調剤業務の外部委託化」に関する説明変数の係数は正であり、また、係数比より「患者サービス」の約 2 倍の影響力を「地域活動」に対して有している。これらの結果は、薬剤師が地域の社会活動に参画する機会創出を促すツールとして、調剤業務の外部委託化が有効であることを示唆している。
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