抄録
Tocilizumab(TCZ)の導入により,難治性の全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)の多くの症例で劇
的な効果が認められている一方で,一部の症例では,治療中にマクロファージ活性化症候群(MAS)
を合併することが明らかになった.われわれが経験したTCZ治療中にMASを合併した5症例では,
MAS合併時においても,臨床症状に乏しく,CRPも上昇しなかった.一方,全症例とも血清IL-18は
MAS合併時に10,000 pg/mL以上の異常高値を示し, MAS発症前より増加を認めていた.これらの結
果から,血清IL-18はTCZ治療中においても, s-JIAの疾患活動性を示す有用な指標であると思われ
た.TCZ治療中は臨床症状がマスクされ,再燃やMASへの移行の診断が困難になることが予想され,
IL-18を含めた活動性の指標による慎重なモニタリングを行う必要がある.