小児リウマチ
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Tubulointerstitial nephritis and uveitis (TINU)症候群の1女子例
重盛 朋子伊藤 保彦五十嵐 徹安藝 薫柳原 剛清水 章福永 慶隆
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2010 年 3 巻 2 号 p. 85-88

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抄録
Tubulointerstitial nephritis and uveitis (TINU)症候群は1975年に初めて報告された,ぶどう膜炎 を伴う尿細管間質性腎炎であり,わが国でも1977年の報告以来注目されている症候群の1つであり, 現在まで200例以上の報告がある.今回,ぶどう膜炎を契機に間質性腎炎と診断したTINU症候群の 1例を経験したので報告する.  患児は15歳女子,ぶどう膜炎の診断後,血液,尿検査にて腎機能障害が認められ,腎生検にて間 質への高度の炎症細胞浸潤,尿細管の萎縮所見より尿細管問質性腎炎と診断された.  ステロイドパルス療法を施行し,尿中β2MGは,治療開始後速やかに改善がみられ,約6か月後 に再度腎生検を施行したところ,間質への炎症細胞浸潤は消退し,間質の線維化が認められた.  本症例は,眼科的な自覚症状は認めたものの,全身症状は非特異的なものであり,臨床検査によっ て初めて腎機能障害の存在が認められた,臨床症状に乏しい症例においても,間質性腎炎の程度はさ まざま存在しており,適切な診断,早期の治療開始が必要である.  また,TINU症候群はステロイド療法への反応は良好であるが,ぶどう膜炎の再発は多く,間質性 腎炎についても,腎組織に炎症細胞浸潤が残存し腎機能の予後に影響する報告例もあるため,治療後 の評価についても十分な注意が必要である.
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© 2010 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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