小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
若年性特発性関節炎として治療されていた腸管Behcet病の1例
小林 達雄岸本 暢将吉田 和樹押川 英仁木村 万希子松井 和生
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2010 年 3 巻 2 号 p. 89-92

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抄録
16歳女子.主訴は多関節痛,微熱.12歳時から多関節痛が出現.13歳時に,JIA少関節型の診断 にてMTX, PSL 5 mg/日開始.その後,微熱や関節炎を繰り返し,16歳時に当科紹介受診. HLA-B51 陽性であり,不全型Behcet病による関節炎も疑われ,コルヒチン・ナプロキセンを開始し, PSL 10mg/日に増量とし, MTXは中止とした.関節炎は軽快傾向を示したが,4か月後に腹痛・下痢が出 現.幼少時から口内炎は頻繁に認めていた.家族歴なし.口腔内アフタと右上腹部圧痛,多関節炎の 所見と腱付着部炎あり.陰部潰瘍や皮疹・眼病変なし.炎症反応上昇あり.大腸内視鏡にて,回盲部 に多発潰瘍あり,腸管型Behcet病と診断.PSL20mg/日,メサラジン3g/日で治療. 症状・炎症反 応は改善し退院.【考察】多関節炎が先行した腸管Behcet病を経験した.小児期の多関節炎の鑑別に Behcet病も考慮し,消化器症状の際は内視鏡検査などの精査を迅速に行うことが肝要と思われた.
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© 2010 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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