抄録
症例は,2005年4月発症の全身|生エリテマトーデス(SLE)の15歳女子である.腎組織は,当初か
らISN/RPS分類:IV-G(A)と重症であった.前医にて,経ロステロイド剤,メチルプレドニゾロン・
パルス療法,シクロホスファミド・パルス療法,免疫抑制剤(ミゾリビンおよびシクロスポリン)など
にて治療が施行されていた.しかし,腎炎は軽快することなくネフローゼ状態が持続し,軽度の腎機
能低下も呈するようになってきたため長期管理を目的に2007年10月から当院に転院となった.なお,
本人は寡黙で,かつ閉鎖的な性格であった.転院後,血液データーなどから怠薬を疑いつつも病状が
安定していたため半信半疑のまま管理していた.ところが,2008年秋から急激に増悪し治療のかいな
く慢性腎不全となってしまった.原因は,やはり怠薬であった.思春期のSLEの患児特に女児を管理
する難しさを改めて痛感した.思春期に増悪するSLE患者の半数は,怠薬によるとの報告もあり,早期
に怠葉と断定し入院管理するとともに,カウンセリングなどを早期から導入すべきだったと反省させられた.