抄録
【目的】小児リウマチ性疾患患者の成人移行達成度に関わる因子を明らかにすることを目的とした.
【方法】10歳以上の小児期発症リウマチ性疾患患者28名とその保護者に対して,リウマチ性疾患成
人移行チェックリストによる評価を行った.26個の評価項目のそれぞれを達成している場合を1点
とし,合計点数を「患者の成人移行達成度」とした.同様に,保護者側に必要な17個の成人移行
項目の合計点数を「保護者の成人移行達成度」とした.また,主治医の判断により保護者の過保
護を評価した.
【結果】患者の成人移行達成度と,児の性別・調査時年齢・発症年齢・罹病期間・疾患の種類には
関連を認めなかった.一方,保護者の過保護を認める患者では有意に成人移行達成度が低く,同
様に過保護を認める保護者自身も有意に成人移行達成度が低かった.
【結論】保護者の過保護は,小児リウマチ性疾患患者における成人移行の阻害因子である可能性が
考えられた.