抄録
日本モンキーセンター・猿二郎コレクションの中に大小2点のスケッチ画が収納されている。このスケッチ帳は、江戸時代の動物生態画家・森狙仙が山野でニホンザルをスケッチしたものを、明治の画家・山元春挙が模写、書き写したものと伝えられている。ここにはどのようなサルが描かれているのか。このスケッチには、墨筆によって、約160場面の、線画によるサルたちが描かれており、今回、これを紹介しながら、描かれたそれぞれの場面のサルの立ち居振る舞いを、体型、姿勢、成長、表情、移動・採食行動、グルーミングなどの社会的行動などに可能なかぎり分類し、サルたちが全体で、どのような状態にあるかを推定した。その結果、描かれたサルたちはすわった場面が多いこと。岩場の上や樹上での行動が描かれていること。グルーミングなど個体間の行動が多いこと、複数個体の集合場面が描かれていることなどから、(1) 体型からニホンザルであること。(2) 野生のサルであること。(3) 群れ生活をしていること。(4) おもに休息状態にあること。(5) 子どもの大きさなど時期は秋(晩夏~初冬)であること。などが判断された。なお、都守淳夫氏の協力もえてこれを描いた画家の特定もあわせて発表する。