霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: P-15
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ポスター発表
テナガザルのコンピューター課題のトレーニング
*打越 万喜子田中 正之
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抄録
アジルテナガザル人工哺育児1個体を対象にコンピューター課題のトレーニングをおこなった。テナガザルは系統的にサル類と大型類人猿とのちょうど中間に位置しており、比較心理学において重要な位置を占めている。しかし、その研究は乏しい。本研究はテナガザルの研究方法として、コンピューター制御のタッチパネルモニターを用いることが適当かどうかを調べた。この方法は、反応の記録や刺激の作成が容易であるという利点があり、すでにチンパンジーでは広汎に用いられている。方法を述べる。対象はアジルテナガザルのこども(5歳4ヶ月∼ 6歳10ヶ月)1個体だった。期間は2003年10月から2005年4月までの1年半だが、途中6ヶ月間の休止があった。週に3回、1回に1-3セッションをおこなった。手続きを述べる。食物は実験前の3時間、部分的に制限した。養育者が実験ブースに一緒に入室した。対象児の自発的なタッチがあれば強化した。対象児がタッチしない、あるいはタッチしたもののモニターに認識されない、等の場合は養育者が補助した。結果、この方法で対象児は課題に取り組めた。13セッション目から自発的なタッチがおこり、61セッション目までに養育者による補助は殆ど不要になった。現在、選好や探索の課題に安定して取り組んでいる。ただし、集中して取り組む時間は10分間程度だった。問題行動としては、天井から降りてこない、等があった。今後、他個体でも同じように取り組めることかどうかを調べる必要があるだろう。そして、さまざまな課題を対象児に与えることで、テナガザルの認識の特性を抽出したい。
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© 2005 日本霊長類学会
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