霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: P-17
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ポスター発表
マーモセットにおける親行動-乳児回収テストによる検討
*齋藤 慈子泉 明宏石橋 英俊中村 克樹
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抄録
マーモセットは繁殖ペアとその子どもからなる集団で生活する。一回の産子数が多くの場合2子で、出生時の体重が母親の10%程度もある大きな新生児が生まれる。この新生児は、生後約1ヶ月の間オトナ個体に運搬されているが、母親だけでなく父親、および兄姉個体も乳児を背負って運び、子育てに積極的に参加する。このことから、マーモセットは母性行動だけでなく、父性行動やalloparental behaviorのメカニズムを解明するためのモデル動物に適していると考えられるが、そのためには乳児への反応性を簡便に測定する行動指標が必要である。
本研究では、子どもへの反応性の指標として、乳児回収テスト(infant retrieval test)をおこなった。具体的には、オトナ個体から乳児(1~7日齢)を引き離して、2~3分間隔離した後、飼育ケージ内の父親あるいは母親に、キャリングケージに入れて乳児を提示し、キャリングケージの入り口を開放してから親が乳児を自分の身体にしがみつかせるまでの時間を測定した。4ペア、計8個体を対象にこのテストをおこなった結果、父親はどの個体も比較的速やかに乳児を回収したのに対し、母親では回収するまでに要した時間に、個体によって大きなばらつきが見られた。
この結果から、メスには自分の子どもへの反応性に個体差が見られるのに対し、オスでは個体差が少なく子どもへの反応性が高いということが示唆された。マーモセットの親行動に影響を与える要因として、子育てを手伝う兄姉の存在や、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン等のホルモンとの関係が指摘されているが、今後サンプル数を増やして、今回みられた傾向を確認するとともに、子どもへの反応性の個体差をもたらす要因が何なのかを検討していく。
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© 2006 日本霊長類学会
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