霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: P-43
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ポスター発表
ニホンザルのストレス評価のためのCalreticulin ELISA法の確立とその応用
*東濃 篤徳米沢 敏景山 節
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抄録
Calreticulin(Crt)は分子量約55 kDaのタンパク質で新生タンパク質に糖鎖の付加やトリミングをする分子シャペロンとして働くストレスタンパク質として知られている。ストレスがかかった時には新生タンパク質に異常が起こりやすくなり、Crtの発現が高まると予想されるが、その測定系は未だ確立されていない。今回はニホンザルCrtのELISA法の開発とそれを用いた応用例を発表する。
我々はすでにニホンザルCrt cDNAのクローニングをおこないアミノ酸配列(418残基)を決定している。また標準Crt(Positive control)としてのニホンザルcDNAを大腸菌で発現させリコンビナントタンパク質を作製している。
ELISA法には抗Crtペプチド-ウサギ抗体を捕捉抗体とし、抗Crt-マウスモノクローナル1次抗体、Biotinラベルの抗マウスIgG-ロバ抗体を2次抗体として用い、さらに増感剤(AMDEX、アマシャム)を用いたサンドイッチ法を用いた。このELISA系では10ng/ml以下のCrtでも検出可能となった。この系を用いて放飼場、個別ケージ飼育、疾病をもつニホンザルそれぞれの血漿を用いてCrt量の測定をおこない、比較検討した。また、ニホンザル各臓器におけるCrt mRNAの発現分布を調べた。結果は分析中であるが、呼吸器疾患の個体でCrt血中濃度が健康個体に比べ、高い値を示した。
このCrt ELISA系は疾病やストレスなど様々な状況に置かれているニホンザルの体調を、血液を用い予測できることにつながるものであり、得られるデータは飼育環境の改善や病気の早期発見などに役立つと考えられる。
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© 2006 日本霊長類学会
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