霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: P-46
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ポスター発表
新世界ザルY染色体の彩色プローブ開発とそのDNA解析
*村田 貴朗今井 啓雄平井 百合子平井 啓久
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抄録
新世界ザルのゲノムについては類人猿などの他の霊長類に比べて、まだ明らかとされていないことが多い。特に矮小化したY 染色体はほとんど解析されていない。そのため、その染色体構造とDNA配列を解析しその進化を明らかにすることは、霊長類の進化史の解明にとって重要である。 新世界ザルのY染色体はフローサイトメータでも検出できないほど矮小なため、解析には顕微鏡下で染色体を物理的に削り取る技術であるマイクロダイセクション法(顕微切断法)を用いた。京都大学霊長類研究所で飼育されている新世界ザル3種(コモンマーモセット、ワタボウシタマリン、コモンリスザル)の染色体標本からY染色体を単離した。この単離した染色体断片をDOP-PCR法を用いてランダムに増幅させ、それぞれの新世界ザル種のY 染色体特異的彩色プローブの作製を行った。このプローブの特性を調べるため、蛍光インシツーハイブリダイゼーション(FISH) 法により各新世界ザルの染色体上のプローブの存在部位を調査した。続いて、各プローブを構成しているDNA 断片の特性を調べるため、各DNA断片のサブクローニングを行ない、その塩基配列を決定した。さらに、配列データベースを用いてその配列の機能や他の生物との相同性を明らかにするため、ホモロジー検索を行なった。 FISH 法(染色体彩色法)による種間比較の結果、各種から回収したプローブが、それぞれの種のY 染色体由来である種特異的なものであることが分かった。さらにそのプローブ内のDNA断片の塩基配列の決定により、ヒト上科の常染色体に存在する遺伝子と共通性を持つ機能遺伝子が得られた。現在その特性を解析中である。
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© 2006 日本霊長類学会
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