霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: C-01
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口頭発表
モロト腰椎の「再発見」
*中務 真人
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抄録
モロトピテクスは2060万年前のウガンダから知られている大型類人猿だが、一部の研究者によって、同時代のプロコンスルや後の中期中新世アフリカ類人猿よりも現生類人猿に近いと主張されている。これによれば、アフリカから知られているほとんど全ての化石類人猿(モロトピテクス以外)は2060万年前以前に分岐した傍系・絶滅群ということになる。この主張の根拠は、現代的とされるモロトピテクスの肩甲骨と腰椎(UMP 67.28)、ただ二つの化石資料である。このうち、肩甲骨については、それが霊長類のものであるか疑義が挟まれており、腰椎の解釈が最も重要である。これまでモロトピテクスの腰椎研究は、例外なくUMP 67.28だけで行われてきた。しかし、モロトピテクスの腰椎資料には、発見当時から断片的すぎるとして無視されてきた標本が他に二つ存在する(UMP 68.05、UMP 68.06)。モロトピテクスの位置づけがきわめて重要な問題であることを鑑み、この二つの標本について調査を行った。UMP 68.05は一部が欠損した大型の腰椎椎体で、サイズ、形態から霊長類とするには疑問がある。少なくともUMP 67.28と同一個体である可能性はない。UMP 68.06は中型の腰椎椎体で、類人猿のものに間違いない。頭尾側方向に短く、椎体腹側面の矢状稜が発達しないなど、UMP 67.28と共通の特徴を示す。しかし、UMP 67.28において重要な現代的特徴とされている横突起の位置については異なった特徴が観察された。また、もしこの腰椎がUMP 67.28と同一個体のものであれば、モロトピテクスの腰椎の数は5-6であった可能性が高い。この研究は日本学術振興会先端研究拠点事業(HOPE)の補助による。
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© 2007 日本霊長類学会
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